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訓練メールって本当に意味あるの? - 避難訓練に学ぶ、セキュリティリテラシーの高め方 -

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訓練メールって本当に意味あるの?  - 避難訓練に学ぶ、セキュリティリテラシーの高め方 -

目次

こんにちは。株式会社クオリティアです。

「また訓練メールか…」と流してしまった経験はありませんか?
標的型攻撃メール対策として多くの企業で行われている訓練メールですが、形骸化しやすく「本当に効果があるの?」という疑問も少なくありません。

しかし、その存在意義は、私たちが子どもの頃に経験した 避難訓練によく似ています。一見意味がなさそうに見えても、いざというときに体が自然と動くのは、日常の訓練の積み重ねがあるから。

本記事では、避難訓練を例にしながら、訓練メールがなぜ組織にとって欠かせないのか、どのようにすれば効果を発揮するのかを解説します。

標的型攻撃メールの最新事情&社員のリテラシーを 高める「メール訓練」とは?

訓練メール、受け流していませんか? 

「フィッシング訓練メールが届いたけれど、特に何もせず削除して終わり」
「毎回やっているけど、正直なところ意味があるのか疑問」

多くの企業で定期的に実施されている訓練メール。それはセキュリティ担当者にとっては重要な施策ですが、一般社員にとっては「社内イベントの一つ」くらいの感覚で受け流されがちです。

実際に訓練後のアンケートでよく出てくる声としては、
「訓練だとわかっていたので深く考えなかった」
「業務が忙しく、まともに読まずに削除してしまった」
「毎回やっているが、何を学べばいいのかよくわからない」
といったものもあります。

このように、せっかくの訓練が効果を十分に発揮していないケースは少なくありません。
では、訓練メールは本当に意味がないのでしょうか?

関連記事:標的型メール訓練のやり方とは?目的や効果、成功させるポイントを解説

子どもの頃の避難訓練 - 当時は意味がわからなかったけど -

ここで一度、子どもの頃を思い出してみてください。
小学校や中学校で行われた避難訓練。
地震を想定して机の下に潜ったり、火災を想定して校庭に避難したりしましたよね。
正直なところ、当時は「本当にこんなことが役に立つの?」「授業がつぶれるからちょっと嬉しい」くらいの感覚だった方も多いと思います。
しかし、実際に地震や火災が発生したとき、私たちは訓練で体に染み込んだ行動を自然と取ることができました。

地震が起きたらすぐ机の下に隠れる、火災警報が鳴ったら出口に向かうなど、頭で考える前に体が動いた、という経験をした方もいるでしょう。この「意味がわからなかったけど繰り返した経験」が、いざというときに命を守る行動に直結していたのです。

災害時に冷静に動けるかどうかは、その場の知識よりも 「日常的な繰り返し」 に左右されます。訓練を通じて体に覚え込ませておくからこそ、パニックの中でも正しい行動がとれるようになります。

サイバー攻撃の“災害”に、私たちは備えているか?

では、現代の私たちを脅かす“災害”は何でしょうか。
もちろん地震や火災への備えは依然として重要ですが、サイバー攻撃もまた大きな脅威になっています。

本物そっくりに作られた銀行や通販サイトのフィッシングメール、取引先を装い請求書や契約書を添付する標的型攻撃メール、さらには昨今急増している経営層を装って送金を指示するビジネスメール詐欺(BEC)、いわゆる「CEO詐欺」など。これらの攻撃は年々巧妙化しており、たとえセキュリティリテラシーがある社員でも騙されてしまうケースが報告されています。

そして、一度被害を被ってしまうと、その影響は甚大です。顧客情報や機密情報の漏えい、システム障害による業務停止、社会的信用の失墜、多額の損害賠償や罰金など。
つまり、サイバー攻撃はもはや「見えない災害」なのです。その災害に私たちはどこまで備えられているでしょうか?

標的型攻撃メール訓練サービスdmt

訓練メールがもたらす「気づき」と「行動習慣」

ここで訓練メールの役割を考えてみましょう。訓練メールは、単に「騙されるかどうか」をテストするためのものではありません。もっと重要なのは “気づき”と “行動の習慣化” です。

✓気づきの強化
実際の業務環境と同じ状況でメールを受け取ることで、「あれ、ちょっと怪しいな」と感じる感覚を養うことができます。
実際に送られてくるメールを体験するからこそ、座学よりもリアルに危険を想像できるのです。

✓行動の習慣化
さらに重要なのは、気づいた後の行動です。怪しいと思ったら削除するのではなく、上司やシステム部門に報告する、同僚に共有して注意を促す、自らの行動が組織全体のセキュリティにつながると理解する、このような一連の流れを訓練を通じて繰り返すことで、「疑う →報告する →共有する」という行動習慣が自然と身につきます。

訓練メールは、このような文化を育てるためのきっかけなのです。

訓練メールが「意味のある行動」になる瞬間

では、訓練メールは実際にどんな成果をもたらしているのでしょうか。IPA(情報処理推進機構)が過去に公表した調査によると、フィッシング訓練を数ヶ月継続して行った企業では、社員の報告率が大幅に向上しました。

さらに、国内外のメール訓練を継続した企業の事例では、

  • 訓練を重ねることで「不審メールを削除して終わり」から「すぐに報告する」へ行動が変わった
  • 実際の攻撃メールをいち早く社員が報告し、被害拡大を防げた社員が「自分もセキュリティ対策の一部だ」と意識を持つようになった

といった成果が確認されています。
このように、訓練メールは単なるチェックリストではなく、組織のセキュリティ文化を根付かせるきっかけになりうるのです。

「開封率」だけを見ていませんか?

多くの企業が訓練メールの効果測定として「開封率」を指標にしていますが、それだけでは十分ではありません。むしろ、開封率の数字だけに囚われると、訓練の本質的な目的を見失う可能性があります。
「開いてしまった」人を責めるのではなく、その後の行動が正しく取れたかどうかを評価することが重要です。

ここでは、開封率以外に見るべき重要な指標について解説します。

「開封率」よりも「報告率」を重視する

メール訓練の結果を評価する際、最も重視すべきなのは「開封率」ではなく「報告率」です。近年の巧妙な攻撃メールを完全に防ぐことは難しく、誰かが開封してしまうリスクは常に存在します。

そのため、開封しなかった人の割合よりも、不審なメールに気づいた時に速やかに担当部署へ報告できた人の割合(報告率)を高めることが重要です。報告の文化が定着すれば、実際の攻撃を受けた際も被害の拡大を最小限に抑えることができます。訓練を通じて「報告することの重要性」を浸透させましょう。

目的に応じた「難易度」の使い分け

ただ漫然と訓練メールを送るだけでは効果は限定的です。メール訓練の目的を明確にし、その目的に応じてメールの難易度を調整することが、より実践的なスキル習得につながります。
例えば、不審な点に気づく力を養いたい場合と、万が一の際の対応力を確認したい場合では、送るべきメールの内容が異なります。それぞれの目的に合わせた難易度設定について見ていきましょう。

「見極める力」を養うための訓練

従業員に不審なメールを見抜く力を付けさせたい場合は、あえて少し分かりやすい「気づかせるメール」を使用します。件名の日本語が不自然であったり、送信元アドレスがフリーメールであったりと、注意深く見れば違和感に気づけるレベルに設定します。

この訓練の目的は、従業員に「違和感に気づく体験」をさせることです。成功体験を積ませることで、日常の業務メールに対しても「何かおかしい」と感じる感度を高めることができます。メール訓練対策の第一歩として有効な手法です。

「対応力」を養うための訓練

一方、万が一被害に遭った際の対応力を養いたい場合は、実際の業務内容に即した巧妙な「気づかせないメール」を使用します。この場合、開封してしまうことはある程度想定内とし、重要なのは「開いた後に正しい初動対応がとれたか」です。

ネットワークを切断する、すぐに情シス部門へ連絡するといった具体的なアクションを確認します。本番さながらの緊張感の中で失敗を経験しておくことは、実際のサイバー攻撃時にパニックにならず冷静に対処するための貴重な予行演習となります。

訓練を定期的に行うには? 

ただし、訓練を一度や二度行っただけでは効果は限定的です。避難訓練と同じで、繰り返し行い、習慣に落とし込む必要があります。

その際のポイントは

  • パターンを変えて送る(件名や送信者を巧妙にする)
  • 定期的に社員の声をフィードバックし、改善する
  • 成果を数値で可視化し、社員に共有する
  • 部署ごとや個人ごとに工夫を凝らした訓練を設計する

などの工夫することです。単調な訓練は「またか」と受け流されてしまいます。形骸化しないように工夫のある訓練を繰り返し行うことが重要です。

標的型攻撃メールの最新事情&社員のリテラシーを 高める「メール訓練」とは?

まとめ

最後にもう一度、避難訓練との共通点を思い出してください。避難訓練は「意味がある」と感じるのは、実際に災害が起きた後です。しかし、そのときに初めて価値を理解しても手遅れです。

訓練メールも同様です。何も起きていないときに繰り返し行い、自然な行動を身につけておくことが、非常時に組織を守る力となります。

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